フィロショピー第3期の講座として、「日記の哲学:表現すること/させられること」と「ドゥルーズ超入門:思考の具体相と生の抽象線」を並行して開講します。それぞれ独立した内容ですが、互いに補い合うことでより思考が深められるようなテーマを選んでいるので、セットでの受講をおすすめします。
なお、第1-2期の講座は、本格的な哲学書を「自分で読めるようになる」ことを目指した、哲学書から一章を抜き出しそれを丁寧に呼んでいく講読的な講座でしたが、今期の講座はもっと気軽に聴くことができるものです。
概要
ドゥルーズは今年で生誕100年をむかえる。2世紀目のドゥルーズと出会う今しかないチャンスだ。
この講座ではドゥルーズがいかに、具体的なものそれ自体のうちで作動する抽象的な思考の線を辿り、抽象的なものを具体的な実践の領域に移したかという観点から、彼の仕事の総体を再構成することを目指す。
哲学とは「概念の創造」であるというドゥルーズの定義はまさに、概念という抽象を制作する営為の具体性についての洞察を含んでいる。したがってこの定義は、哲学とは〈抽象化という行為の具体性のレベルから新たな抽象の可能性を生み出す〉ものなのだと言い換えられる。
他方でドゥルーズは「セルフレジにまごつく」や「余ったご飯を冷凍する」といった卑近なものであれ、あるいは「手製の銃で安倍晋三が撃たれる」や「新型コロナウイルスが第5類に引き下げられる」といった歴史的・社会的なものであれ、ひとつの出来事を貫く、自然と社会の区別も、人間と非人間の区別も知らない無数の力線を〈抽象機械〉あるいは〈抽象線〉と呼んだ。
ドゥルーズの思考には、絵画に顔を近づけるほどそれが描いていた風景が色彩のリズムと筆触のざらつきへと炸裂するような、ある種の過感覚と方向喪失とが背中合わせになったスリルがある。
この講座ではそれぞれの回でドゥルーズ(&ガタリ)の主要著作を1冊ずつ取り上げ、彼(ら)の突風のような思考の速度をなるべくそのまま実況しつつ、同時に、それがどこまでいっても具体的なものを手放なしていないことを時間をかけて確認する。この二面性はドゥルーズを「使える」ものにするための条件だろう。
各回の概要(予定)
- 思考するという行為の発生:『差異と反復』
- 善意は必ず罰せられる:『意味の論理学』
- 工場としての無意識:『アンチ・オイディプス』
- 非有機的な生:『千のプラトー』(1)
- 硬い線、柔らかい線、抽象線:『千のプラトー』(2)
- 概念と生:『哲学とは何か』
日程
3週にいちど金曜20時より
4月25日 日記#1
5月2日 ドゥルーズ#1
(一週休み)
5月16日 日記#2
5月23日 ドゥルーズ#2
(一週休み)
6月6日 日記#3
6月13日 ドゥルーズ#3
(一週休み)
6月27日 日記#4
7月4日 ドゥルーズ#4
(一週休み)
7月18日 日記#5
7月25日 ドゥルーズ#5
(一週休み)
8月8日 日記#6
8月15日 ドゥルーズ#6
開催形態
講師:福尾匠
開催形態:YouTube Live、アーカイブ視聴可能、資料配付
コメント
“ドゥルーズ超入門:思考の具体相と生の抽象線” への1件のコメント
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