1C1P

1C1P(One Chapter for One Philosophy)は、ひとりの哲学者のテクストのうち、ある本のひとつの章だけを取り上げて、それを全6回で解説するレクチャーを販売する企画です。

100分で1冊なのか、90分15回の講義で大きな歴史の流れを整理するのか、2時間の輪読で10ページなのか、哲学を提供する仕組みには様々な「これでひとつの哲学」と言うための数え方と、それと組み合わさった時間のかけ方があります。

1章でひとつの哲学を、6回のレクチャーで。それは哲学を、手に取れるもの、持って帰れるものにする試みです。

哲学を学ぶことは、基本的には哲学書を読むことです。読む力をつけるのにもっとも適しているのはいわゆる「原書講読」ですが、研究者になるのでなければそこまでする必要もありませんし、読むことへの強迫も哲学を持ち帰れないものにするひとつの要因です。

他方で、哲学を学ぶことは、個々のテクストの精読から離れて哲学史の流れを学ぶことでもあります。哲学の歴史や学説についての優れた新書もたくさんありますが、そこで得た「理解」が、たんなる知識のストックではなく「使える」ものになる実感を得るのはなかなか難しいことです。その点、本企画で取り上げる各章はどれも、それ自体が現代的な問題意識のもとで哲学史を再構成し、その作業を通してひとつの新たな哲学を立ち上げるもので、言わば、「哲学史」から「哲学すること」への移行の現場を観察することができます。

6回で1章というスケール感は、原書講読的な緻密さと新書的な手軽さのいいとこ取りを狙っています。

それはそれ以外の章を読み、さらに別の本を読むための土台にもなれば、その章だけを携えてテクストから離れて、眼鏡のような道具として用いることもできます。

1C1P第1期 2024年5−7月 オンライン開催

詳細は各講座のページをご覧下さい。

ドゥルーズの一章:何をしたら何かを「考えた」ことになるのか

  • 『差異と反復』第3章「思考のイメージ」

フーコーの一章:何をしたら何かを「言った」ことになるのか

  • 『知の考古学』第3章「言表とアルシーブ」